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大島紬と奄美大島紬の違い
総絣について
奄美大島紬の素材
奄美大島紬の工程

大島紬と奄美大島紬の違い。 奄美大島紬の定義といたしまして、先染め、平織りであり、かすり糸のかすり合わせが手作業によって行われ、かすり紋様を出した物である事。締め機を用いた、織締め技法であり、糸は絹に限る事(絹100%であること)とございます。大島紬といえば、現在は、地球印の奄美大島産、旗印の鹿児島産が主となりますが、発祥は奈良時代に奄美大島で、手紡ぎ糸で褐色紬がつくられたのが始まりといわれております。(「南島から褐色紬が献上された」と、奈良東大寺や正倉院の献物帳に記録が残されております。)そして、時代を経て、第二次世界大戦を前後に、奄美大島から鹿児島へ移られた方々によって、鹿児島でも大島紬がつくられるようになりました。そのことにより、元来の大島紬を本場奄美大島紬、鹿児島で織られるものを本場大島紬と分けることとなりました。
【元祖大島紬】大島紬は、テ−チ木(和名:車輪梅)で染めたものを、泥の中にある鉄分を利用して媒染剤の働きをさせて色を出します。(合成化学物質を使用せず染色されております。) 奄美大島の泥は、鉄分が多く含み、粒子が細かく、丸みを帯びているため、糸を傷つけません。鹿児島の泥の場合、鉄分が少なく、火山灰地帯のため、角が多く糸を傷つけてしまいます。そのため、現在も泥染めは、奄美大島の泥を使います。奄美大島では、山裾のあたり、水が溜まっているところのほとんどの泥が、泥染めに使用できるそうで、まさに、泥染めに優れ、適した所であるといえるでしょう。それでは、ここで奄美大島で作られた本場奄美大島紬と、それ以外の類似品の見分け方についてをご紹介したいと思います。 本場奄美大島紬の製品の織口には、すべて地球のマークと「本場奄美大島」の文字が織り込まれています。また、地球印の商標が必ず貼られています。さらに、泥染の製品には泥染証紙が、草木染の製品には草木染証紙がそれぞれ別に貼られており、これが本場奄美大島紬の証となっております。鹿児島の物は、奄美大島とはまた異なる証紙が貼られておりますので、本場奄美大島紬をお買い求めの際は、まずはラベルをご確認下さいませ。
本場奄美大島紬(奄美大島・地球印)本場大島紬(鹿児島・旗印)


総絣について。大島紬は、模様入りの糸を使って織り上げることで、製品の柄を表現していきます。ちなみに、柄を形成する模様入りの糸は絣(かすり)糸と言います。一般の大島紬は、ほとんどが単色で染められた無地に近い(つまり模様入りでない)たて糸と、模様の入ったよこ糸を合わせて柄を描いていくのですが、たて糸に模様が入っていない分、比較的のっぺりとした織り柄しか表現することができません。

9マルキ
9マルキ総絣

しかし、総絣(そうがすり)と呼ばれる製品は違います。総絣はたて糸にもよこ糸にも絣糸を用いて織った製品。つまり、反物を織るために使う全ての糸に模様が入っておりますので、より連続的な表現、グラデーションのある奥深い柄を織ることができるわけです。この総絣を織るには、全ての糸に模様が入っているため、ひと織りひと織り、たて糸とよこ糸の模様がかみあっているかを気にしなければならず、まさに気の遠くなるような作業の賜物。単にマルキの数だけでなく、総絣かどうかも、その反物の価値を左右する重要なポイントと言えます。



奄美大島紬の素材。奄美大島紬の素材は100%の絹織物。通常紬糸は、綿を解いて紡いだいわゆる木綿糸、または本繭よりも劣るとされる太くて節の多い玉繭から紡いだ手撚りの玉糸や、くず繭と呼ばれる変型した繭から紡いだ紬糸を使用しますが、奄美大島紬は、上質の細い絹糸のみを使っております。女物一反の長さは12.34m以上という規格がございますが、一反わずか450グラムほど程の為、大変軽く、染めの過程で質感はやわらかくなり、その着心地は一度肌にまとえば忘れられない快さ。月日が経ち、洗い張りを重ねれば重ねるほど、その色艶は増してまいります。人の手で何度も揉まれた糸はしなやかでシワになりにくく、雨にぬれても縮みません。奄美大島紬は織物ですので、裏にしても全く同じ柄をしており、表が痛めば裏に返して仕立て直すこともでき、末永くご愛用いただける絹織物でございます。


奄美大島紬の工程。ひとつの本場奄美大島紬を完成させるまでには、図案に始まり織りあがるまで半年から1年、約30の複雑な工程を経る必要があります。しかも、工程によって必要な職人の技法も違うので、ひとりの職人の力だけで出来上がる物でもないのです。
1.図案。大島紬の柄は、模様入りの糸、絣糸を織り込んでいくことで表現されます。織った反物に柄をつけるものとは異なり、織る前にデザインに合わせて染めた糸で柄をつける、先染織物なのです。たて糸とよこ糸の組み合わせで出来る小さな絣の集まりが、大島紬の柄をかたどっていきますので、図案は方眼紙に緻密に描かれていきます。この方眼紙の目盛りにそって絣糸が作られることから作業がスタート。図案は根気を要する全工程の指図書になります。
2.のり張り。原料の絹糸の小さな毛羽をのりで固めます。この工程は、柄がずれないようにするため、汚れがつかないようにするため、綺麗に染まるようにするため、また、紬糸として扱いやすくするためにあります。のり張りは、鍋で十分煮沸して溶かしたものを、布または目の細かい網でろ過したフノリを使って行います。やけどするほど熱いのりを3回ほど繰り返して均等につけるのですが、これをしなければ泥染めの際、色がまだらについてしまうのです。その後、日光で十分乾燥させます。
3.織締。世界でも類を見ないと言われる精緻な絣の美しさ。その秘密は、この工程にあります。のり張り乾燥した絹糸を織り込んで締め、ここで点絣の大きさに変化をもたせることで、立体感のある模様を表現することが出来るようになります。締織は図案にあわせて強く締めなければならない力仕事ですので、主に男性の仕事とされています。
4.染色。大島紬の生命ともいうべき泥染には、車輪梅(シャリンバイ・テーチ木)が必要不可欠です。まず車輪梅の幹と根を小さく割り、釜で2日間炊き続け、その後4〜5日寝かし、抽出液を作ります。この車輪梅は、タンニンを多く含みます。絹糸を車輪梅の抽出液に20回繰り返し、漬けて染めます。もちろん、1回ごとに液は交換されます。そうしなければ、あの独特の色には染まらないからです。そして、20回抽出液で染められたあと、鉄分を多く含む泥田に1度漬けられます。染めの工程では、車輪梅20回・泥染め1回を一工程として、これを4〜5回繰り返します。つまり車輪梅染めが80回から100回、そして、泥染が4〜5回。これだけの気の遠くなるようなステップを繰り返してはじめて、車輪梅のタンニン酸と泥の鉄分が結合して、糸は柔らかくこなされ、決して化学染料では合成し得ない独特の渋い黒の色調に染め上がるのです。
5.加工。ひとくちに加工といっても、締や染色を除く、機織りのための準備工程だけで28ものステップがあります。主な作業として、整経・糸繰り・部分脱色・摺込み染色・絣むしろほどき・綾ひろいなど。絣むしろほどきでは、部分色差しのため、織締している綿糸を千枚とおしで一目ずつ切って、絣糸を露出させます。絣糸を傷つけないように、的確に取らなくてはならないので熟練の技が必要です。目破りともいいます。また、摺込み染色も同様に細かい作業です。これは部分解きした絣に図案に基づき染料を摺り込んでいくのですが、スポイトとヘラで一線ずつ繰り返し繰り返し摺り込んでいきますので、やはり気の遠くなるような根気のいる作業なのです。
6.手織り。たくさんの職人の手をくぐりぬけ、加工が終わればいよいよ機織りの工程へと進みます。大島紬は高機(たかおり)による手織りで1糸1糸、心を込めて織られていきます。柄の難易度によっても異なりますが、1反織り上げるのに1ヶ月から数ヶ月近くかかるものもありますので、この工程にも相当根気が必要です。しかし、たくさんの職人の手を経てこの工程にまで運ばれてきたものですので、機織りの女性たちも細心の注意を払って織り進めていきます。手織りにも熟練の技術が必要で、奥深い魅力を十分に出せるようになるまでには、10年以上も織り込まなければならないと言われています。そして手織りを担当する女性の中には、この道70年という方もいらっしゃいますが、紬が織り上がった瞬間には、何十年経っても変わらぬ感動があるそうです。
7.検査。織り上がった大島紬は、すべて本場奄美大島紬共同組合に送り届けられ、そこで最終的なチェックを行います。ここでは、やはりこの道数十年のベテラン検査員が、長さ、織り巾、絣不ぞろい、色むら、織り疵、量目不足など、18項目に及ぶ厳重な検査をし、大島紬の規格を満たしているか、品質に問題ないかを判断します。この全ての項目が合格水準に達している反物だけが、本場奄美大島紬の正規品として、商標・証紙・合格印を与えられます。